高齢化社会により暴走族も人員不足
10年ほど前から伝えられるようになった社会現象の一つに「暴走族の高齢化」があります。
かつては夜中になると決まって多くの場所で集会を開いていた暴走族でしたが、現在ではすっかりその数も減り、都内などではほぼ見かけることがなくなりました。
日本で最も暴走族活動が盛んと言われていた神奈川県においてもめっきりその数を減らし、夏場でもまず遭遇するということはありません。
警察庁の発表を見てもその衰退ぶりは明らかで、警察に認知されている暴走族のグループ数および構成員は軒並み減少しており、特にここ数年で激減したという印象があります。
平成23年時点では暴走族グループは452組ありましたが、それが平成27年には227組になっており約半分にまで減りました。
この急激な暴走族の減少の原因は、冒頭に述べた「高齢化」があります。
2009年のニュースで日本最大の暴走族とされてきた「全日本レーシング連盟」のリーダーを逮捕したところ、なんと40歳の中年男性であったということが報道されました。
走行に使用していた乗り物も古いバイクが多く、まるでレトロカーのサークル・グループのようでもあったと伝えられています(蛇行走行など迷惑行為をしていました)。
少子化によって若い世代の人口が減ったことにより、新たに暴走族に加入したがる人が減ってきたことと、そもそもバイクという乗り物に興味を持つ人が減ったことが関係しているようです。
今時の不良はストリート系が中心
暴走族減少のもう一つの原因とされているのが、厳しい上下関係への反発です。
今時の若い世代は、人間関係に上下を設ける教育を前の世代よりも受けてきていませんので、「年上の言うことにはとにかく従う」という価値観を受け入れ難くなっています。
既存の価値観と違った生き方というと聞こえはいいですが、実際の暴走族の活動では学校生活以上に上下関係が厳しく、そうした「縦のつながり」が苦手な若者は暴走族という組織形態がなじめないことがあります。
どちらかというと今時の若者の中での不良文化というのは「マイルドヤンキー」と言われる身近な集まりが中心です。
マイルドヤンキーは地元から離れず、小中学校の同級生や近所の同じような立場の人とつるんで狭い範囲で活動をします。
不景気によって自分で使えるお金が少なくなったことも関係し、維持費がかかる大型バイクを大幅に改造するほどの経済力がありません。
まして危険が伴うということもあって、わざわざバイクで夜中に出かけたいとは思わないのです。
現在暴走族として活動している人たちも「下が入って来ないから抜けられない」という事情があって、やむなく続けているということもあるようです。