国産のバイクメーカーが安泰の理由とは?

世界のバイク市場は東南アジアが中心

日本やヨーロッパ、北米などの先進国においては若い世代のバイク離れが加速しています。
しかしその反対に東南アジアなど新興国においてはバイクの需要は非常に高く、労働人口のほとんどがバイクを所有していたりします。

東南アジアの諸国を旅行したことがある人ならよくわかると思いますが、市街地に出てみると非常に多くのバイクが走行している様子が見られます。

人口100人あたりの自動二輪車保有台数を見てみると、2009年の時点で世界トップは台湾(65.3)、次いでマレーシア(34.7)やベトナム(29.5)と東南アジア諸国です。

他にもインドネシアやタイ、スリランカといった国で多くバイクが所有されているのに対し、日本においてはわずか9.5にとどまっています。

その一方で世界全体のバイク市場ということで見てみると、全世界で約3億台もの車体が走っていると言われる中、その最も多くを占めているのはホンダのバイクです。

ホンダのSuperCubが世界一売れているバイクであることは良く知られている話ですが、それ以外にも並み居る北米や欧州のバイクメーカーを抑えて1位を長年に渡って死守しているところはさすがと言えるでしょう。

日本国内メーカーは世界全体のバイクで高いシェアを獲得しており、新興国においては日本メーカーが得意とする小型~中型クラスのバイクの需要が高いことから、大型バイクがメインである北米や欧州メーカーよりもかなり優位にいると言ってよいでしょう。

日本メーカーではあるものの「日本車」ではない

手放しで喜べない状況もまた同時に発生しています。
というのも東南アジア地域で高い需要のあるバイクは、そのほとんどが現地で生産されています。

既に大手バイクメーカーは生産工場をそうした現地に建設しており、日本国内では開発のみを行なっているというのが現状だからです。

日本国内でのバイク製造はハイランク車のみで、ほとんどの車種は海外で製造されたものを日本に輸入して販売するという方法が取られています。

近々生産工場は完全に海外に移転するということも予測されており、日本のメーカーでありながらバイクは「日本車」ではないことになるのです。

世界一のバイク保有率である台湾においては、既に日本車のノウハウを元にした新たなバイクメーカーが誕生してきています。

日本でもよく目にする「KYMCO(キムコ)」や「PGO」「SYM」などはいずれも台湾メーカーで、小型のスクーターで斬新な車種を多く製造しているところに特徴があります。

日本において実際に製造に携わる人間が減少すれば、将来的な開発チームも海外頼みにならざるを得ないため、今後バイク業界地図は大きく変化する可能性があります。